第3章 「行き先には、何がある?」
─賢厘─
僕は、未だに先輩探し。しかし、一向先輩の姿も見ないし、気配すらしない。
(……本当に広いな………。ここの洋館。)
そんな事を、思いながらひたすら廊下を歩く。すると………。
「クスクス……………。」
不気味な笑い声が、僕の耳に入ってくる。僕は、足を止めて息を呑み振り返る。
しかし、誰もいない。気のせいかもしれないと、疑ってしまうが間違いなくあれは、笑い声だと判断できる。
「もう、この洋館よくわかんねぇーよ。早く帰りたいなぁ……。」
そんな事を、ポツリと呟く。僕は、再び重たい足を動かすのだった。
そして、一つの扉が目に入る。僕は、手を伸ばし開ける。鍵は掛かっておらず簡単に、開いた。
扉の先には、庭………恐らく中庭だと思われる。赤い薔薇が、沢山咲いてあった。
僕は、薔薇を見ながら歩いていると………奥に人影が見えてきた。
もしかしたら、先輩かと思い近づいて見る。しかし、僕が思っていた以上に、身長がなかった。
小さかったのだ。まさかの人違いなどと思った。人影は、僕の事に気が付いたのか消えていった。
「はっ!?き、消えた!!」
僕は、消えた事に驚いた。確かに、ここに人影がいた。だけど、今はいない。
僕は、勇気を出してその人影がいた場所に近づいた。