第1章 涼やかなる風
涼やかなる風が開け放たれた午後の窓から吹き込んでくる。
「あぁ…どうしよう」
僕の憂鬱な気持ちを知らないまま…
「何で成績、上がらないのかなぁ」
ため息を吐く僕の手には「0点、再テストを受けるように」との文字が赤字で書かれている。
ピンポーン(チャイムの音)
そんな憂鬱を切り裂くようにチャイムが鳴った。慌てて時計を見ると午後5時を指している。インターフォンを見れば、思った通り、僕の彼女が立っていた。
「はーい、今開けます」
そう言って、僕はテストを隠してから、玄関へと向かった。