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49番目のあなた【D.Gray-man】

第7章  嘘




「なんさ、それ…」

(こんな時まで、他人のことばっかりさ…)




今、一番近くにいるのは俺なのに。
俺のことなんか眼中にないってか。
博愛主義みたいなこと言いやがって



俺は、一言…たった、一言


(好きって、言われたいだけなのに…)




その一言がもらえなくて、胸が苦しい。



「ディックは?なんて書くの?」


「俺はーーーーー」








(“好き”って、言われますように?)



(ブックマンに、なれますように?)









「………ひみつ。何も書かない。」


「えー!せっかくなのに!?」


「願い事なんてものは、自分で叶えるもんさ。」



ふっ、とディックは格好つけに笑って見せる。
そしてすみれの願い事の隣に、何も書かかったノートの切れ端を窓枠の上に貼付けた。

2枚の紙が仲良くゆらゆらと揺れている。


ディックは2枚の紙を見て、口元だけ大きく孤を書くよう笑顔を作った。





(何も、書かなかったんじゃなくて…








ーーーーー何も、書けなかったんさ。)





もし、本当のことを願ったら

叶わないことを、認めてしまうように感じて。

怖く、なってしまって



何も書けなかったんだ。






誰にも言えない。
本当の願いはーーーーー










そうやって、自分にすら嘘をついた。


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