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49番目のあなた【D.Gray-man】

第18章  人の生




 ラビはバクに呼ばれ、執務室に訪れていた。





 初めて足を踏み入れる執務室を遠慮なくキョロキョロと見回す。

 バクの執務室は開放的な立地で、ここが地下施設だと忘れてしまいそうだ。机や椅子等の調度品は中華風のデザインで揃えられており、気品を感じる。流石、アジア支部の最高権力者の部屋である。



 「へー。どっかの室長の部屋とは大違いさ」

 「むっ!俺様の城が劣っているとでも言いたいのか?!」

 「イヤイヤ逆さ、逆!!」


 あの一面書類まみれの、足の踏み場もない室長室を思い出す。みんな書類を避けて歩く事を諦めて、踏みつけている始末だ。


 「そーいや、俺が保護することになってるイノセンスは?」

 「君達が黒の教団へ戻る日に渡すことになっている。それまではこちらでも研究させて欲しい」

 「流石科学班さ」

 「できればラビ、君のイノセンスも見せてほしいのだが!
 今はフォーに稽古をつけてもらっているから、イノセンスは不要だろう?!」

 「はは、まだ稽古続くんか。
 後で研究室に寄っ……



 ――――――いや、見せねえ」


 「む?なぜだ?」

 「イノセンスを見たいなら……




 すみれが此処、アジア支部に居た頃の話をのして欲しいさね!」


 「彼女に直接聞けばいいだろう!」

 「そうはいかねーから頼んでんさ」

 「いやしかし、他人のプライベートを…」


 そう簡単に話す訳には、と渋るバク。
ラビは「ふーん」やら「へー」と余裕の、否
。イヤらしい笑みを浮かべる。


 「あ、じゃあすみれに言っとくさ!
 支部長はすみれの写真をこっそり―――、」

 「待て待て待て待て」

 「他人のプライベートを曝すのは、」

 「よしっ!!
 男同士の話をしようじゃないか!!」


 何処からともなくウォンが現れ、お茶が準備される。ラビはウォンに半ば無理矢理椅子に座らせられた。


 「あれは数年前。
 俺様が建築中の地下聖堂に迷い込んでしまった時……」

 (フォーの、支部長の迷子の話。本当だったんか)


 ラビはウォンが入れたお茶をズズ…と飲みながらバクの話に耳を傾けることにした。



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