第13章 現在に至るまで
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あれから数年経ち、俺は相も変わらずジジイと世界中のあちらこちらを飛び回っている。
世界中も相も変わらずバカで、あちらこちらで戦争を起している。
そして今は次の記録をするために、黒の教団に訪れている。
「波風立たぬようにせえよ」
「へいへい、当分の寝屋だしね」
ジジイに釘を刺され、内心チクッと胸がいたんだが、それだけだった。
いや、それだけになった。
流石にもう、あの楽しかった日々も、ブックマンの掟を破った苦い思い出も、色褪せたさ。
彼女の名前すら思い浮かばなくなったし、“ああ、そんな事もあったさね”くらいに流せるようになった。
「いつも通り、へらっと笑って仲良くなるさー」
あれからいくつものログ地に足を運び、その地を去った。あれ以来、何事にも動じなくなったし、心を許す事もなかった。
やっと、(まだ後継者だけど)ブックマンとして振舞えるようになったな、と。
そう、思っていたのにーーーーーー
「ーーーーーーーディック?」
捨てた名を、再び呼ばれるなんて。
「………すみれっ」
彼女の名を、再び口にするなんて。
世界中渡り歩いているのに、意図せず再会など有り得るのだろうか。
困惑と驚き そして
すみれが生きていた嬉しさと、喜び。
「…ずっと、元気にしてた、さ?」
色褪せさせた記憶が、一瞬で蘇る。
これは奇跡と呼ぶべきか、または神の悪戯か。
黒の教団にて、二人は再び時を重ねる。
ーーーすみれと出会い、別れ
そして、現在に至るまでーーーーーー。