第7章 救出作戦
「おいおい。情報をやったんだぜ?ただで帰ろうったって、そうはいかねぇよなあ?その姉ちゃん貸してくれよ!」
「これは私の妻ですので」
「いいじゃねぇか!酒の相手をして欲しいだけなんだよ!」
すると○○はお腹に手を当てた。
「ああっ!お腹が…!お腹が痛い!あ、あなた。どうしましょう…!お腹の子に何かあったら…!」
「んぁ?姉ちゃん、身ごもってんのか?そいつはいけねえ!」
「しっかりしなさい!すぐに宿に帰ろう。医者を連れてきて正解だった!」
カラ松は○○を横抱きにして足早にその場を去った。
「大事になー!」
背中で貴族の心配する声を聞きながら。しばらくして貴族の姿が見えないのを確認すると○○を下ろす。
「ありがとう、○○。よくとっさに思い付いてくれた」
「言ったでしょ?頼られるだけは嫌なの。私も役に立ちたいもの」
「そうだったな。しかしこれで場所は分かった。後は何とかしてチビ太を助け出さねばな」
「その時は当然私も一緒に行くからね」
「いいだろう。その代わり俺の側を離れるなよ?」
「はい!」
「ふっ。いい返事だ」
船に戻り、手に入れた情報を伝えるカラ松。
「処刑場の場所は街で一番大きなレンガ造りの建物だから分かりやすい。入り口は当日多くの人が行くだろうから、自ずと分かるだろう」
「場所さえ分かればこっちのものダス」
そう言ってデカパンが液体が入ったビンを人数分取り出した。
「これは動物を手なずける薬ダス。この薬の匂いを動物に嗅がせれば、最初に見た人間の言うことをきかせることが出来るダス。ただし効き目は30分だけダス。念のために言うダスが、人には効かないダスよ」
「30分もあれば十分だ。突入の間際に嗅がせよう」
「馬車の馬に嗅がせるのがいいかもね」
トド松が言うと○○はビンを眺めながら言った。
「人間以外に効くのよね?」
「そうダス。虫にも効くダスよ」
「俺はこれなくても、猫を集められるから…」
「いちまっちゃーん。一応持っておきなよ。役に立つかも知れないしさ」
「これ使ったら、動物たちと野球できるかな?」
「野球は動物には無理だよ。道具を持てないでしょ?…持てる動物もいるけども」
「チョロ松。お前真面目だねぇ」
「お前がいい加減すぎんだよ、このクソ長男!」