第6章 果てしなき航路
「これは俺と二人きりの時に着てくれ」
それは空のような青い色のドレスだった。背中が大きく開いていてリボンで絞めるようになっている。だからといって妖艶な感じもなく、派手すぎない。大人の雰囲気を持ったドレスだ。
「素敵!着てみていい?」
「ああ、俺に見せてくれ。いや、俺以外に見せるなよ?」
「もちろんよ」
ドレスに着替えると、これまたピッタリだった。
「どう?」
○○に聞かれてもカラ松は答えない。いや、答えることが出来なかったのだ。ドレス姿の○○にすっかり目を奪われ、息をするのも忘れてしまっているらしい。
「カラ松、大丈夫?」
肩を揺さぶられてはじめて息をした。
「はっ?!あ、ああ…。思わず見惚れてしまっていた…」
そっと○○を抱きしめ、口づける。
「俺だけのヴィーナス…。宿を借りたのは正解だった。今のお前の姿は、誰にも見せたくない。王女だということは分かってはいるが…やはりハジメ国に行ってもお前を国に帰したくない。ずっと俺の側にいてくれないか?お前だけを愛し、守ることを約束しよう」
「カラ松…!私も王女だったし国も心配だけど、あなたと別れたくないわ。それと、守られるだけっていうのはなしよ?私も一緒に戦う」
「ああ、共に戦おう。俺の背中はお前に預けたぜ」
「うん」
もう一度口付けを交わし、互いに唇をついばみながらベッドに横たわる。カラ松の手が○○のドレスを脱がしていき、あらわになった部分に吸い付く。
「あんっ!」
思わず声をあげる○○にカラ松の鼓動が高鳴る。絡み合い、互いの熱を確かめ、何度も口付ける二人は今まで以上に情熱的な時間を過ごした。
宿から出た二人は何やら騒がしい雰囲気に気を張った。そこへ通りかかった男がいたので声をかけてみる。
「何かあったのか?」
「あったも何も!何でも海賊が捕まったらしいぜ!」
「ほう。どんな奴だ?」
「ハゲでチビな奴だ!俺はダチに教えてくる!こりゃ公開処刑だぞ!」
嬉しそうに去っていく男の背中に唾を吐くカラ松。
「チビ太だ…!」
「助けに行かなきゃ!」
「とにかく場所を把握しないとな」
そこへデカパンが走ってきた。
「ギルティック!」
「デッカーか」
デカパンの話によればチビ太は明日にでも街の処刑場で処刑されるらしい。