第3章 そこにいちゃいけないんだ。
江口side
みんなのいるテーブルに連れて行った後、珍しく真面目に宏太朗はこんなことを言っていた。
西「先輩、僕たちの職業分かってます?
何かあった時あの子にも迷惑をかけてしまうんですよ。」
それぐらい分かっている。
今でこそ結婚報告をするとファンの方から"おめでとう"とたくさん言ってもらえる雰囲気になってきたが、今でもやはりアンチコメントは一定数きてしまう。
コメントだけで済めばまだいい。
実害を受けてしまう可能性だってあるわけだ。
そんな危険な目に会わせたくはない。
好きだから。
すぐにではなくても良い。
そう言ったのは僕に気を使ってとっさに出た言葉なんだろう。
きっときちんと告白をして、YES/NOで答えて欲しかったはずだ。
江「だっさ…」
?「ほんとですよ…。」
江「え!?宏太朗!???」
西「確かに僕たちの職業分かってます?って言いましたけど、付き合っちゃいけないとは言ってませんよ?」
江「うん、そうだけど。やっぱり何かあってからじゃ…」
西「怖いんですか?」
江「え…?」
西「先輩の好きって気持ちはアンチに負けちゃうぐらいか弱いんですか?
確かに知り合って間もなくてお互いの事何も知らないかもですけど、そんなの付き合ってからでも遅くはないです!!僕は…先輩に幸せになって欲しい!!」
江「……。宏太朗のくせに生意気なんだよ
でも、ありがとな…!
おまえのおかげで決心できたよ。」
西「えへへ笑」
江「けどさ、俺…連絡先ってか名前すら知らないんだけど…」
西「はぁ、何してんすかぱいせん…」
ほんと何やってんだろ。
あれから収録終わりの飲み会はあの居酒屋でするようにしていた。
でも、あの日以来あの子を見かける事は無かった。
だけどある日突然、あなたは目の前に…