第3章 そこにいちゃいけないんだ。
『えっと、そんな大したことじゃないんだけど…。』
さっきまであった出来事をすべて話した。
「要するに、トイレで推しにゲ〇処理してもらってさらに有名声優に会わせてもらえるってなったけどこの人たちとお話していいわけない!て思って泣きべそかきながら帰ってきたの?」
『あ、はい…。』
「ふ~ん、ファンからしたら羨ましすぎる案件だと思うけど?」
『何で涙が出てきたのかは分からないけど、何となく住む世界が違う気がして、そんな感じの事考えてたら泣いてた。』
「二次元の相手に恋したんじゃないんだから次元は一緒でしょ?」
『うん…?何で恋してる前提なの?』
「えっ好きじゃないの?」
『いや、好きだけど…。』
「じゃあ、付き合いたいとは思わない?私だったら自分だけを見てもらいたいって思うな~」
『でも、ファンの人たちに申し訳な…』
「別に気なんか使わなくて良くない?」
『えっ』
「普通好きになった人が被ったとしても譲らないでしょ?」
『うん、譲りたくない!』
「それと一緒だよ」
『そっか!!ありがとうあかり!!』
「うん!ってあんたどこ行くの!?」
『さっきの居酒屋!!まだいるかもしれないじゃん!!!』
「あー、行っちゃった…。昔から変わらないね…笑」
居酒屋までの距離はそこまで遠くない。
今から走ればもしかしたら。
西「あ、君は…」
『……!!』
西「えーっと忘れ物ですか?」
『えっと、その…。え、江口さんはいらっしゃいますか?』
斉「あ、拓也さんならいつものようにお会計中ですよ~」
西「ファンの方なら僕たちのお財布ってご存知ですよね?笑」
江「聞こえてる……えっ!?」
『あ、あの!さっきはすみませんでした!!!』
江「あ~大丈夫だよ…!僕の方こそごめんね?
そりゃあ、いきなりこんなばかどもの中に入って話なんてできないよね…!」
斉「奥様聞きました?私たちの事、ばかどもですって!」
西「きゃー、怖いですわね!」
中「なにこれのった方がいいの?笑」
『あの、少しお時間って頂けますか?』
江「えっ!?僕だけでいいんだよね?」
『はい!それに皆さんいらっしゃらないですし…笑』
江「嘘でしょ!?」
L〇NEに(ごちそうさまでした~)ときていたらしい。
江「で、話って何…?」
『あ、えっと…』
私の目線よりはるか上にあるその顔はあまりよく見えなくって…。