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【ヒロアカ】幸せな恋の諦め方【轟焦凍】

第8章 距離感と興味【原作編(職場体験)】


※一条視点


 体育祭の影響は凄まじく広がっていた。

 とある登校日の朝、バスに乗っていると楽しそうな声が聞こえる。自分と同じく高校生みたいだ。

「ねぇねぇ、見て、今回の雄英体育祭の動画、1年のステージ」
「え~やばい!後、顔面偏差値高っ!」


「今年は個性強い奴多くなかったか?」
「ああ、特に1年がやばかった、あんな個性ずるすぎだろ。」


 男子女子問わず今年は1年のヒーロー科に注目が集まっているみたいだ。自分は参加する立場の身だったので、知らなかった。

「この子、あのエンデヴァーの息子さんだって、イケメンじゃない?!」
「え、個性も強くてイケメンってもう最強じゃん!ファンになっちゃおうかな!」
「この爆破の人とかもいいよね。あー雄英行きたい~」

 自分の知っている人らしき会話に思わず耳を傾けてしまった。雄英に入る前も彼は注目の的だったが、それとは比べ物にならないほど、日本中が轟くんを見つけたような反応を目のあたりにしている。

 轟くんの知名度がどんどん一般の人にも知れ渡っている証拠だ。


(‥‥‥‥これからもっと注目されるだろうな、)


 それは彼の活躍が光れば光るほどにだ。


(‥‥‥‥素敵、だな。)


 なんだか遠い人のように感じて、切ない気持ちになる反面、気持ちの整理に時間がかかる自分にとっては、これでよかったのだと、自分に言い聞かせた。






「そういえば聞いた?もう職場体験するみたい、ヒーロー科って」
『‥‥うん、聞いたよ。』


 教科書を読んでいる自分に語り掛ける友人の質問に頷く。体育祭自体がそういったスカウトを目的した部分もあるので、いずれ職場体験をするだろうと思ったが、思いのほか早かった。


「はぁ…刺激がない‥‥普通科もそういう制度ほしい」
『あ、はは、ないものねだり、だけどね。』
「そういう意味で本当、普通科って不利よね。」


 とはいえ、普通科もそれなりにスケジュールが組まされていて忙しい状況ではあるのだが、それでも物足りないということなんだろう。


「…‥そういえばさ、やっぱ気になるから聞くけど、」
『‥‥うん、』
「轟のこと、好きなの?」
『…‥ん、ん?!』

 話題が急に変わったのと、一度も彼について話したことがないはずなのにそんな話題が出てくることに、思わず顔を上げてしまった。
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