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捻れた世界で誰と踊る?【ツイステ】

第17章 終夜プラネタリウム!【Malleus】



「おとぎ話みたいでおかしい?けど、信じてるの。」


その瞳はまるで"夢をみているよう"で、妙に優しかったのをマレウスは覚えている。
彼が「そうか」とひとつ、言えば監督生は意外そうな顔をした。

「何だ」
「意外ね」
「意外だと?」
「ツノ太郎ってこういう話、信じてくれるのね。」
「お前が僕に意味の無い嘘など吐くだろうか」
「でも、同じクラスの友達に話したらきっと笑われるわ。」


やっぱりツノ太郎って変わってる、と彼女は微笑む。
こんな風に笑うということは、少しは体が良くなったのだろうか。

「僕はどうせ人とは違う」
「褒めてるの。ツノ太郎は私の話をいつもちゃんと聞いてくれるから、嬉しい」

人のことはよく分からないが、彼女は本当に嬉しそうにした。

「ツノ太郎、ありがとう」
「?」

お礼を言ったと思えば、監督生はベッドの中で目を閉じた。
もうひとつ、欠伸をした。


「あなたと話していると楽しい。」
「楽しい?」
「ずっと夜ならいいのに。そうすれば…」


そうすれば……ともう一度言って、その先は寝息に溶けて消えた。


「ずっと夜であったら、何だ」


監督生は問いかけには答えず、静かに眠りに落ちた。

彼女が黙ると忽ちに、世界は音を失ったようだ。
星の光はひとつ、またひとつと灯りを消していく。


眠る彼女の顔は、幸せに満ちた表情であった。
きっと今宵も、夢で逢える誰かに逢いにゆくのだろう。

しかしこうして見ると、彼女の寝顔はいつも、二度と目を覚まさないのではないかと思ってしまうほどに安らかだ。


「ローズ(マレウスの故郷にて美しい娘を呼ぶときの言葉)。お前が朝を迎え、何事もなく目を覚ますことを願おう。」


何気なく、髪に少しだけ触れた。
彼女の髪は鉄でできているわけではないが、火傷しそうな気持ちがした。





END.
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