第4章 毎日フロイド!【Floyd】
×月×日 月曜日
フロイド先輩と廊下ですれ違った時に絞められた。
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「小エビちゃんだぁ。おはよ」
「おはようございます」
「どこ行くの?」
「えっと、講堂に。」
「そうなんだぁ〜。ギュッてしてい?」
「え」
どんな文脈でそうなるのか不明なのだけれど、有無を言わさずフロイド先輩に絞められた。
結構痛かった。
移動教室だから一緒にいたエースとデュースとグリムは、無言でその様子を見てドン引きしていた。
フロイド先輩は5秒くらい経つと
「あ。飽きた」
と言って私から離れると、スタスタと長い脚であっという間にどこかへ行ってしまった。
「出たよフロイド先輩の『小エビちゃんギュッてしていい?』」
エースが先輩の猫なで声を真似て言う。
「監督生、大丈夫か?」
「デュース、大丈夫よ。それ程痛くなかったから」
そう。
それ程痛くはないのだ。
私が何度も絞められて慣れているから、という訳ではなさそうだ。
モストロ・ラウンジで働かされていたイソギンチャクさん達は、耐えられない程に強く絞められたって聞いたから。
つまり、フロイド先輩は私に加減をしているらしかったのだ。
何故だかは分からない。
「おいオマエ、完全にフロイドに目ェ付けられてるんだゾ。オレ様、もうアイツらに酷い目に合わされるのはゴメンなんだゾ〜…」
「私もよく分からない。でもフロイド先輩はあれ以上何もしないのよ」
「イヤ分かんないよ〜。フロイド先輩、機嫌悪い時マジでヤバいから。気を付けなよー監督生。」
「僕も何かあればフォローするから、いざという時は言ってくれ。」
別に、そんなに大袈裟に騒ぐほどのことじゃないと思うんだけれど。