第3章 粉砕ブレーキ!【Ruggie】
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「ハイ、言って。」
「言うって…」
サバナクロー寮の建物の裏。
日が沈んだ静かな草原のようなこの場所で、ジリジリとハイエナは獲物に詰め寄る。
「オレさっき言ったッスよね?キミが好き。好きなんスよ。」
「は、い」
「キミはどーなんスか」
「私は」
「ホラ頑張って」
「ラギー先輩のこと、」
監督生くんが真っ赤になってオレから目を逸らす。
ああキミは。
こんなにオレに迫られてもまだ逃げようとするんスね。
だから追いたくなるんスよ。
「あーもうジレってぇ、ラフ・ウィズ・ミー!」
「えっ?!」
ラギーはユニーク魔法を使い、その手の平で監督生の頬を包む。
監督生もまた、ラギーの頬に両手で触れる。
こうすりゃもう逃げられないでしょ。
「アンタの手、震えてるッスねぇ…シシシッかわいー」
クリン、としたタレ目は真剣な目付きになり監督生を映し出す。
それは、何処までも貪欲な野心の瞳だった。
「オレもう待てないッス。だから早く言って。」
ラギーはどんどん顔を近づけていく。
監督生顔をじーっと見つめながら。
「すきで」
言い終わる前にキスをした。
聞いた?
オレが好きだって。
言わせてやったッス。
やっと、オレのものになってくれた!
ラギーは嬉しくて、数回キスを重ねた。
「ん…せんぱい、」
「よく言えたッスね〜〜〜」
おでこをくっつけて、ぐりぐりした。
ああ幸せだ、ばあちゃんに教えてやらねえと。
「監督生くん、オレが好き?」
「はい、好きです」
「オレもキミが好き」
「うれしい、大好きです…」
「シシシ、オレもッス」
監督生もラギーも、ずっとずっと溜めてきた"好き"がとめどなく溢れ出してきた。
「今日からキミはオレのものッスよ。いい?」
「ずっと、」
「ん?」
「ずっと前から先輩のものですよ」
「も〜〜アンタって人は〜〜〜!!!」
2人は暫く引っ付いていた。
今までそうできなかった分を取り戻すように。
心配しなくても、骨の髄まで喰らい尽くしてやるッスよ。
だからキミは、これからもオレの横で。
オレと笑って。
END.