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【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !

第2章 夏に濡れ衣ぎを着させたい





「ていうかさ、一個聞いていい?」
「なに」
「このクラスTシャツ着たくないんだけど」

 角名くんがそう言って取り出したのはオレンジ色のTシャツ。それは私達、二年一組のクラスTシャツだ。
 最初は水色の予定だったけれど他クラスと色が被り、ジャンケンで治くんが負け余っていたオレンジ色に変更になった。それ故に、私たちのクラスには絵が好きな子もいなければ美術部もおらず絵心がある者もいない為、またも実行委員である治くんが腕を奮った。

 ひょろひょろな字で「棒屋さん」と書かれたほぼほぼオレンジのクラスTシャツ。あながち間違ってはないデザインだ。
 委員会中に書き上げた治くんに見せられた時、「ユニークでいいんじゃない?」と言ったところその場でデザインは決定した。

「俺の方がもっとまともなの描けるよ」
「面白そうでいいじゃん。だって角名くん、ふ…っ、いちばんっ、似合うと思う………っ、ぶッ、」

 角名くんの目を見ながら絶えきれず吹き出すと、今まで見たことないくらいにカッと目を見開きながら角名くんは新品の袋を思い切り引きちぎり、私に被せようと迫って来る。
 よさこい祭りの当日、治くんが作ったユニークなクラスTシャツを着ない私と着る角名くんで防衛戦が始まった。


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