第10章 陽花戸中サッカー部
次の日
雷門と陽花戸で練習試合をすることになった。
吹雪はフォワードに入る。椿は後ろから吹雪を見て、不安な気持ちになったが、自分のその気持ちに蓋をした。
試合が始まると吹雪はいつものプレーができていない様子だった。
アツヤが出てこない。椿はそれに少しほっとしながらも、いつもと違う吹雪を見て自分の無力さを痛感する。
円堂は究極奥義「正義の鉄拳」の特訓をする。
ゴールはみんなで守るんだ!
お互い一歩も引かず、前半が終了した。
「士郎、平気?」
椿は元気無さげの吹雪に声をかけた。
「うん、大丈夫。」
「でも、アツヤが…」
「平気。」
吹雪から「もうこれ以上話しかけないで」というオーラが出ていて、椿はそれ以上聞けなかった。
そして、後半が始まる。
吹雪は士郎とアツヤの間で揺れている。
——アツヤにならなくちゃ。
——僕は士郎だ。
立向居はマジン・ザ・ハンドの特訓を続ける。
試合は雷門の勝利で終わった。
士郎は次の試合、自分がシュートを打とうとしていた…
その日の夜。
円堂が1人で練習しているところに漫遊寺にいたヒロトがやってきた。
「ねぇ、俺のチームと試合しない?」
ヒロトは明日の試合の約束をしてそのまま立ち去ってしまった。