第2章 プロローグ
もう洸平たちは3年生。
まだ部活を続けてはいるが、そのうち受験やらで来なくなるだろう。
椿はフットボールフロンティアも終わったし、今日も練習サボろ。と決め込んで、誰も知らない使われてない元文学部の部室に入る。
そこはソファーと机、大量の本棚が押し込まれた狭い部屋。
椿はもう一年以上もここに住んでいる。
理由は簡単。家に居たくないのだ。家に帰ればまたあの母親に自由を奪われる。
彼はただひたすらに自由を求めて生きてきた。拘束されたくないから授業にも出ない。ただ、ちゃんとテストでは学年一位を取り続ける。そうすることで、授業に出てなくても先生はなにも文句を言えないのだ。
まぁ、家柄的なこともあるのだろうが。
椿はベッド代わりにしているソファーに寝そべる。
彼は幼い頃のストレスによって睡眠障害を負っている。
どんなに頑張っても日中は起きていることが出来ないのだ。
フットボールフロンティアの優勝チームが雷門中サッカー部に決まった頃、ここ日本ではあるニュースに注目が集まっていた。
それは、『宇宙人が攻めてきて、日本中でサッカーの試合を申し込んでいる。負けた学校の校舎は破壊される。』といった内容。
椿はそのニュースを観て、頼むからここには来るな。と願っていた。
あの日本一になった雷門中のサッカー部ですら勝てないのだ。地区予選の一回戦で負けたうちのチームが勝てるわけがない。つまり、校舎が壊されるということ。そんなことになったら俺はどこに住めばいいんだ!
いや、家に帰ればいいんだよ。と自分で突っ込んでみるものの、やはり家には帰りたくない。
彼はいつものようにソファーで寝る。