第2章 プロローグ
フットボールフロンティア。
中学サッカー日本一を決める大会。
サッカーをやる中学生なら誰もが憧れ、出場を目指し、優勝を志す。
彼の所属する、埼玉県にある中学校のサッカー部もその夢を持ち、日々練習を重ねていた。
「おい!北条はどうした!!」
「すみません、探したんですけど…」
「あぁー!またか!!こんなんじゃあいつを試合に出すことは出来ねぇな。」
3年生のキャプテン、佐々木洸平(ささきこうへい)が後輩にそう言っている。
あぁ、いつも北条は来ない。なんでこんなにあいつは来ないんだ。
「ふぁぁ。寝坊しましたー。すいやせーん。」
渦中の彼、北条椿はあくびをしながらグラウンドに入ってくる。
「北条!遅い!ペナルティで校舎周り15周してこい!!」
「マジすか。早くボール蹴りたいのに。」
椿はダルそうにしながらもちゃんと走りに行く。
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数十分後
「キャプテン、疲れたんで寝てきていいですか?」
「ふざけるな!俺たちが授業を受けてる間、お前は寝てるだろーが!!練習の時ぐらい起きてろ!」
椿は洸平に頭を叩かれる。
「痛いっすよ。わかりましたから、やりますから。」
「なんでチーム内一のセンスを持ってる奴が一番練習をしない奴なんだ。俺らの努力は一体なんだってんだよ!!」
洸平はまた椿を殴る。
「だから痛い!!」
このやりとりはほぼ毎日繰り返されている。
周りのメンバーはまた始まったよ。と呆れて自分の練習に入る。