第5章 白恋中サッカー部
「遅ーい!ずっと待ってたのよ?何してたの?」
秋がもたもたと教室に入ってくる4人を前にして、腰に手を当て頬を膨らませる。
か、かわいい。4人が同時にそう思ったことは内緒。
「えっと、秋?」
一之瀬が言い訳をしようとオロオロし始めた。
「悪い。俺がキャラバンで目薬なくしちゃって、探すの手伝ってもらってたんだ。」
椿はポケットから目薬を取り出しながら言った。
「まだ目痛いの?」
「いや、大丈夫だけど念のためにな。」
秋は椿の嘘を信じてそれ以上は何も言ってこなかった。
「さすがきーくん。頭の回転早いよね。」
吹雪が小さい声でそう言って自分の席へと向かう。
「よく咄嗟に思い付いたな。」
「昔から監視を巻くためとか、母さんに隠れてサッカーするためによく言い訳考えてたからな。ちょっと得意。これ、自慢。」
椿はニッと笑って、士郎待てよ。とか言いながら席に向かう。
「なぁ、今の。」
「あぁ。」
「やっぱり性別を知るって大事だな。」
「うん。」
風丸と一之瀬は椿の笑顔にノックダウン。
「風丸ー!一之瀬ー!」
椿はついてこない2人を不審に思い呼ぶ。
2人はすぐに椿を追いかけた。