第4章 旅立ち
円堂はすでに外で朝食の準備をしてくれていた秋の元に向かう。
「体温計あるか?貸して欲しいんだけど。」
「え?円堂くん具合悪いの?」
「俺じゃなくて北条がな。風丸が相当熱があるって言うから。」
秋はちょっと待ってと言ってテントに走る。すぐに体温計を持って来た。
「ありがと!」
円堂は走ってキャラバンに戻る。
「風丸、借りて来たぞ。」
風丸は椿の腕を上げて袖口から体温計を差し込む。
しばらくしてピピッと音が鳴ったので確認すると、
「「39度8分!?」」
すでに起きて着替えなどを始めていたメンバーもその声に驚き体温計の表示を見にくる。
「おい、これやばくねぇか?」
「夜寝たってだけで高熱?」
とりあえず瞳子に報告せねばと円堂と鬼道が瞳子のもとへ向かう。
「病院連れて行ったほうがいいのか?」
「でもエイリア学園との戦いも次いつかわからないから一刻も早く北海道に行きたいもんな。」
「病院には行かないわよ。このまま予定通り出発します。早く朝食を食べてきなさい。」
瞳子はキャラバンに入りすぐに指示する。何人かは準備がまだで少し時間がかかったがすぐに出て行く。
しかし、風丸だけは動こうとしなかった。
「風丸くん。行きなさい。」
「なぜです?仲間が苦しんでるのに無視するんですか?」
「あなたは女子の着替えを覗くつもり?」
「え?女子?」
「北条くんの希望で男として扱ってるわ。でも戸籍上の性別は女よ。あなたも彼の家庭事情を聞いたでしょ。跡取り欲しさに母親が男として育てたそうよ。このことは誰にも言わないように。あと、知ってることを北条くんに悟られないように。ほら、北条くんを着替えさせるからさっさと行きなさい。」
風丸は驚いたがなるべく顔に出さないようにしてキャラバンから出た。