第12章 炎のストライカー
監督が許可しなかった理由は、エイリア学園がいつ来るかもわからないこの状況で、なんの練習にもならない地元チームとのお遊びなんてやってられない。とのことだった。
が、綱海の所属する大海原中サッカー部は本当ならフットボールフロンティアにも出場する予定だったという、強いチームだそう。
そこでやっと監督からの許可が降りた。
大海原中は海の上にあった。
「やっべぇ!!俺、初めて海見た!やばい、やばいよ、士郎!恭介!」
椿は初めて見る海に大興奮していた。
眠気もバッチリ吹っ飛んだ。
試合開始!
大海原は雷門をどんどんかわして行く。
さらに大海原は音村の指示で雷門からボールを奪い続ける。
「北条!」
鬼道は椿へとパスした。
「マジかぁ。今日は暇かなって思ってたのにさぁ。」
椿はそう愚痴を漏らしながらもボールを持つと相手ゴールへと走る。
「本気出しちゃおうかな。」
椿はそう呟くと走るスピードを上げた。
雷門イレブンもいつも以上に速く動く椿に驚く。
「みんなは知らないだろうけど、きーくんのすごいところはここからだよ。」
吹雪がそう言ったことにより、雷門イレブンは椿の動きに集中した。
椿が相手陣地へと入るとすかさず音村の指示が入るが、椿はボールを上へと蹴り上げ、バク転やバク宙をし、相手ゴールすぐ手前でボールをキャッチした。
「なんだ今のは!?」
「きーくんは昔から1人でサッカーをやってたからね、ボールを持ちながらのアクロバットなんてのは簡単にこなしちゃうんだよ。」
今までの眠そうな椿からは想像もつかない。
が、また音村の指示でボールを取られてしまった。
「おりょ。」
椿はそう言うとあくびをして自分の持ち場へとゆっくり帰って行き、しゃがんでしまった。
「もう限界。眠いわ。」