第6章 嫁と息子
当時、避妊具を付けて妊娠が発覚した。
わずかな確率での妊娠。
だから俺も反応に困った。
今も避妊具は付けている。
気を付けてはいるが
夫婦や慣れということもあって、
心のどこかで「まあいいか…」と
雑に装着したのがなかったとも言い切れない。
何十回、何百回、営みをしてきた。
なのに夫婦になってから一度もそれがない。
…おかしい。
「調べよう…」
携帯を開いて、
DNA親子鑑定のホームページにたどり着く。
口腔内を綿棒でとったり、
毛根鞘のある髪の毛、
ものによって成功率が異なる。
私的鑑定は個人で、
法的鑑定は担当者による採取が行われる。
もし仮に裁判と争うことになることになり
認められるのは、
第三者が行う法的鑑定のみ。
まどろっこしいことは止めて、
千恵美に直接聞こう。
俺以外の男と関係があったのかと。
ある、と答えたならそれまで。
ない、と答えたらその時は…。