第27章 恋人 *
俺と、付き合ってくれないか?
長瀬は俺の目しっかりみて、
そう言った。
聞き間違えることなんてないのに
実感がない。
「ほん…と…?」
嘘ではないほど胸が絞め付けられた。
温かくて、
溢れてしまいそうで、
受け止め切れない。
「長瀬にとって、俺は…なに?」
意地悪かもしれないけど
ちゃんと聞きたい。
言ってほしい。
俺が一番欲しい言葉。
「好きだよ。湊」
「…っおれ、も…」
長瀬の顔が
だんだんと大きく、
視界に収まらないほど近く。
「俺も。俺も長瀬が好きだ…っ…」
唇がぴたりと重なった。
しっかりとした
太く逞しい腕が包み込んできた。
これ以上ないくらい長瀬が近くにいる。
(長瀬……)
これからはもう我慢しなくていいんだ。
気持ちを隠す必要もなく、
友達以上のことも。
溢れ出す想いとともに
いますぐ抱いて欲しいとばかりに
長瀬の背中に腕を伸ばした。