第23章 先生
それからも
ちょくちょくと先生が絡んできた。
決まって誰もいないときに。
その機会が増えればいいなと思って
すぐ帰らないで
ゆっくり支度したり、
無意味に長く椅子に座ってたりしていた。
(先生と話したい…)
バカで無謀だって分かってるけど
興味を向けてくれるだけで嬉しかった。
近くにきて
話して
視線が合ったりして…
身体をぽんっと触れてきたときは
余計に嬉しくて。
(…好きって言ったら…どんな顔するんだろ)
先生は大人だ。
ゲイに対してどう思っているのとかは
聞いたことないけど
柔軟な考えを持っていると思うときもあるし、
自分の親とは違うから
もしかしたら
相談相手になってくれるかもしれない。
本当は一人の男として見てもらいたいけど
そこまで高望みはしない。
(どうしようかな…。
先生に言ってしまいたい)
言いたいけど言えない。
何かキッカケがあればいいのだけれど。
走行している間に1年が経って、
中学3年生になっても
キッカケばかりを探していた。