第20章 ~角湊の場合~
配属された海外営業部には
俺のほかにもう一人…
新人が入ることになった。
しかも、そいつは相当面倒臭そうな男。
「角~。一緒に飯食いに行こうぜっ」
キラッと眩しい歯をのぞかせた
その男の名は長瀬由真。
俺と同い年なのは別にどうでも良いが
この会社の副部長の息子という
厄介な肩書を持つ男。
「いえ。俺は一人で食べますので」
「そう連れないこと言うなよ~。
今年オープンしたばっかで
まだ行ってない店があるんだよ!
美味いって評判らしくってさ、
角と一緒に行きたいと思ってたんだ」
肩をがっちりホールドされ
身動きが取れない。
体育会系のいい身体をしていて
正直言って…
…身が持ちそうにない。
なぜ誰からもモテそうな長瀬が
こんなに絡んでくるのには
理由があった。