第9章 after story
日を追う事に拙い子どもが書いているような文字になっている。
読んでいると、隣にエルヴィンがいることも忘れて涙を流していた。
自分は何も気づけていなかった。
リアがどんな風に過ごしていたのか。あいつは自分が忘れていくことを自覚していたなんて知らなかった。
この中はリヴァイと出会ってからはリヴァイリヴァイと君のことばかりが続いていてね、妬けてくるよ。
すると先ほど渡された栞が目につく。
「…これは?」
「ここから帰ってきたあの日、リアが気を失ってもなお離さなかった花だよ。ずっと握っていて萎れ始めていたから私が栞にしたんだ。」
足元を見ると同じ花が揺れている。
「これが私の後悔だ。記憶をなくし始めたあの時リアにこれを渡していれば、彼女はお前を思いだしていたかもしれない。
だが私はそれが恐くて、妬ましくて渡せなかった…。」
悲痛な表情のエルヴィン。
「それで記憶の鍵か…。」
栞を握りしめる。