第9章 after story
しばらくそこに座り込んだ後、ふと思い立ったように馬を出して走らせた。
森を抜けあの丘に出る。
そこから見える景色は悲しいほどに変わらず美しかった。
2人で来て、俺はアイツに伝えるはずだった。
愛していると。
たったそれだけの言葉を、また同じように明日があると過信して言えなかった。
その後アイツの中から自分が消えてしまうとも知らずに。
最後に俺は何と声をかけたのか思い出せない。
その時リアはどんな顔をしていただろうか。
……俺のこと忘れたまま勝手に死にやがって。
待っとけって言っただろうが。
足元には無数の小さな白い花が揺れていた。