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《イケメン戦国》時を越えて

第10章 時を越えて〜収束へ〜


〜義元目線②〜
舞が見せたそれは、4本の懐刀。
それぞれに家紋が入っている。
「上杉、織田、徳川…そして明智か。」
俺が言うと
「はい。『御守りくまたんの代わりに』と言って預かったんですが…これって大切なものなんでしょう?失くしたり、汚したりしたら大変なのでお返しするまでは袋に入れて大事に持っていようと思って…。」
困ったように言う。

全くこの子は!
家紋入りの懐刀を女子に渡す意味を露ほどにも分かっていない。自分が渡した守りの代わりに、一時的に預かったと思っているようだ。

武将が懐刀を女子に渡す意味…それは『大事な存在』だと言うこと。即ちその相手を妻に望んでいるということだ。
もちろん、四人はその意味を理解した上で舞に懐刀を授けた。そして恐らく、舞がその意味を理解していないことも承知している。それでも『離れていても守りたい』そう想いを込めて渡したんだろう。

「なかなかすごいことになってるみたいだね。」
思わずそう漏らした俺に
「そうなんです。気持ちはありがたいんですが、4本もあると重くて…。もしもの時に使うとしても1本あれば十分なのに。」
やはり、全く分かってない様子の舞。

「謙信たちは分かるけど、光秀殿は意外だったな。」
そう何気なく言った言葉に
「えっ?ああ、そうですかっ?!なっ、なんででしょうね。」
なぜか焦ったように答える舞がおかしくて、俺は声を立てて笑い、舞は苦笑いしていた。

犬笛を渡した幸村も、今回の旅の対策を戦術より真剣に考えていた信玄も、織田軍の武将たちも…きっとみんな舞を望んでいる。

舞は誰を選ぶのか。

そこに加われない自分を悔しく思うけど、それでも一人くらいは見守る立場にいないと舞がかわいそうだからね。
その答えが出るまでも出た後も、舞が悩み苦しむ時には手を差し伸べてあげたい。
(俺は俺ができる精一杯でこれからも君を守り続けよう。)
甘味を美味しそうに頬張る舞を見ながら、俺はそう心に決めた。
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