第7章 時を越えて〜顔合わせ〜
お茶を配り終えた舞は、そのまま末席に座るように言われる。
(なんか場違いで落ち着かない。)
そう思い、そわそわする舞に
「舞、貴様が織田軍の紹介をしろ。」
と信長が言い出した。
「えっ?」
言っている意味が分からないとばかりにキョトンとする舞。そんな舞を見てニヤリと笑った信長は
「春日山の面々に俺たちを紹介するのが、今日の貴様の仕事だ。」
と意地悪そうに言った。
「ええっ?確かに仕事をくださいとは言ったけど…そんな重要な仕事っーー」
「貴様が言い出したことだ。つべこべ言わずにさっさとやれ!」
納得いかない舞だったが、信長に言い切られ、渋々紹介を始めた。
「ええと。今、私にこんな横暴な命令を出したのが信長様です。」
「「「「「ぶっーー!!」」」」」
その紹介に吹き出す武将たち。必死に耐えているが、耐え切れず肩が震えている。
「信長様は、いつも自信満々で偉そうな口調だし怖そうに見えますけど、意外と優しいところもあって、楽しいことが好きみたいです。『鳴かぬなら殺してしまえホトトギス』じゃなくて、『鳴らぬなら鳴かせて見せろホトトギス』な人です。」
そう言ってニコリと笑う舞。
「「「「「くーっ、くっくっく」」」」」
皆、もう我慢できなかった。
「なんだ、その紹介は。」
信長が不機嫌そうに言うと
「えっ?ダメでしたか?私から見た信長様をみなさんに紹介しただけなんですけど…」
首を傾げながら答える舞。
それを見ていた信玄が
「いや、素晴らしい紹介だったよ。ぜひ、その調子で続きを頼む。」
と告げ、舞は
「はいっ!」
にっこり笑って肯いた。
「信長様の隣が秀吉さんです。秀吉さんは信長様のことが大好きなので、秀吉さんの前で信長様に言い返したり、文句を言うと怒られます。最悪、斬られるので気を付けてください!秀吉さんはとても面倒見が良くて親切です。『鳴かぬなら面倒みるぞホトトギス』です。」
もう遠慮なく爆笑する皆と苦笑いの秀吉。
春日山組の面々も笑っていた。
「次は光秀さんです。意地悪です!私を玩具かなにかと勘違いしていると思います!!あっでも、たまーに優しいです。いつも優しくして欲しいです。『鳴かぬならどうしてやろうかホトトギス』です。」
「ほう、舞。まだまだ可愛がりが足りないようだな?」
「えっ?いっ、いえ。充分足りてます!お腹いっぱいです!!」