第6章 時を越えて〜現代人トモダチ〜
「話は終わったようだな?」
信長が問いかけると
「はい。ありがとうございました。」
と佐助が頭を下げた。
「…して、佐助。」
「はい。」
「貴様はどのように斬られるのを望む?」
真顔で信長が聞けば
「一瞬で終わるように、ひと思いにお願いします。」
とこれまた真顔で答える佐助。
とてつもない緊張感に包まれる室内。
緊張を破ったのは舞だった。
「もう!信長様!冗談はほどほどにしてください!そんな意地悪言ったら、佐助くんと幸村さんがかわいそうじゃないですか!」
膨れっ面で信長に訴える。
「貴様、俺が戯れで言っていると思うのか?」
「思います!本気の目じゃないですから。」
「…クッ…そうか。では、戯れと言うことにしておいてやろう。」
舞に言われてあっさりと引き下がった信長に、佐助と幸村は目を丸くする。
(舞さん、すごいな。)
(あの信長を引かせるなんてすげー女だな。)
信長を恐れない舞にそれぞれ心の中で感心する。
それは武将たちも同じだった。
舞のおかげで和んだ空気。
それを感じた面々は
(舞を500年後の世になど返さない!)
各々、静かに決意していた。
すっかり和んだ室内で
「ところで、舞。友人も忍びとは…お前の忍びへの思い入れの強さには恐れ入ったぞ?」
光秀が早速、舞にちょっかいをかける。
「本当だな。お前の仕事はやっぱり饗談か?」
政宗が便乗すると
「ぷっ、伊賀か甲賀に口聞いてあげてもいいよ。」
笑いをこらえながら家康が言う。
「こら、お前たち!あんまり舞をいじめるな!舞はあれでも必死にーーあっ、いや、あれでもっていうのはそういう意味じゃなくてだなーー」
秀吉がフォローにならないフォローをする。
「舞様の『器械体操』は素晴らしかったですよ。」
相変わらず的外れな三成。
「……もう、みんなひどい!そんなに言うなら、本当に忍びになってやる!佐助くん!軒猿に入れて!!」
「ええっ?舞さん本気?!織田家には饗談、徳川の伊賀者と甲賀者もいるのに軒猿に入るの?!」
突然のことに驚く佐助。
「察しろよ、佐助。本気な訳ねーだろ!舞、お前も佐助を巻き込むな!」
「えー、幸村さん冷たい…」
「「「「「「おのれ、真田幸村!」」」」」
「あー、もー、なんだよこれ!なんで俺が悪くなんだよっ。この状況、春日山と同じじゃねぇか!」
どこへ行っても気苦労の絶えない幸村だった。