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《イケメン戦国》時を越えて

第19章 時を越えて〜分岐〜信長ver.後編 ※R18あり


ーーー安土城、天主。
信長、信興、三太郎による密談が行われていた。
「ーーというわけです。」
信興の報告に
「なるほどな。氏直も考えたな。」
そう信長が答える。
「古参の家臣が側室にと推しているのは、毛利の息のかかった大名の娘。このままお市様を追い出し、その娘を正妻のように置くつもりでしょう。そして、北条を毛利陣営へ呼び込み、小田原を安土へ攻め込む拠点にする算段かと。」
三太郎の言葉に、信長と信興の眉が上がる。
「毛利元就…。調子に乗りすぎたな。兄上、粋がっている阿保に、そろそろお灸を据えましょうか。」
そう口角を上げて言う信興の目は笑っていない。
「良いですな。某も久しぶりに暴れたい気分です。」
三太郎も同意する。
「くっ、三太郎が暴れたら本当に日ノ本が火の海になるやもしらん。燃やすのは毛利領だけにしておけ。」
「心得ております。」
「信興もほどほどにしておけ。貴様が暴走すると、この俺でも手に負えん。」
「くくっ。分かりました。『できる限り』としかお約束できませんが、心に留めておきましょう。」
「はっ、全く貴様らは」
そう呆れたように言いながら、信長はニヤリと笑う。
「挙兵の時期が決まったら教えろ。俺も出る。」

「…舞を置いて行って大丈夫なのですか?」
信興が聞くと
「良い。竹蔵が付いている。それに、九兵衛も復帰すると光秀から報告があった。」
「九兵衛殿が?それは何より。」
九兵衛の件を聞いた三太郎が安堵の表情を浮かべる。
「ああ。彼奴と竹蔵に任せておけば心配はいらん。」
「そうでございますな。あの時の九兵衛殿を思い出すと、某は今も胸が震えます。」
「なぜだ?」
「あの時、九兵衛殿はものすごい勢いで階段を駆け上り、転げ落ちそうになった舞様を受けとめて己を下敷きに落下して行った…。正気の沙汰とは思えない九兵衛殿のその行動を見て、某は『大事な者を守る』とはこういうことなのだと思い知りました。あれが某だったなら、舞様は無事ではなかったでしょう。」
「そうか…」
「その九兵衛殿が付いておられるなら何も心配することはないですな。竹蔵もいることですし。…竹蔵も舞様のこととなると目の色が変わりますから。」
「……」
「くくっ。魅力的な女子が連れ合いだと心労が増えますね。」
「舞様ですからな。」
「…うるさい。貴様らは早く行け。」
「くくっ」
「御意」
こうして密談は終了した。
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