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《イケメン戦国》時を越えて

第18章 時を越えて〜分岐〜信長ver.中編 ※R18、R20あり


家康にとって幼い頃から知る信長の妹であるお市は、自分にとっても妹のようなもの。気丈に振る舞ってはいるが、子のことはお市にはかなりの負担となっているのだろう。お市の幸せを邪魔する毛利に家康はかなり腹を立てていた。

「それで?市はなんで一人で安土に?」
家康が問うと
「『このまま北条にいるのは危険だから、兄様に匿ってもらいなさい。』と氏直様に言われたけど断ったの。そうしたら、氏直様が信興に文を出して…。信興が指示した者に無理矢理連れて来られたという訳。」
恨めしそうに信興を見ながら、お市が言う。
「ははっ。手荒な真似をしたのは申し訳なかったですが、俺も氏直殿に必死に頼み込まれて断れなかったのですよ。何より姉様のお命が大事ですし。」
「……」
信興の返しに黙り込むお市。
「ご心配なさらなくとも、騒動が収まれば氏直殿が迎えに来られます。それまでこちらで舞と交流をなされては?」
「…分かったわ。」
『舞』という言葉に最後にはお市も納得した。


一方、小田原城ーーー
「氏直様、それではお話を進めてよろしいのですね?」
古参の家臣が嬉々として氏直に問う。
「構わない。」
穏やかな声でそう答える氏直。
「誠に良ろしゅうございました。これで北条も安泰ですな。」
「そうだと良いね。」
「お世継ぎの心配さえ解消されれば、我々家臣も何の憂いもございません。忠義の心を新たにお仕えして行けますぞ。」
「…」
「では、私はこれで。」
「ああ」
飛び跳ねる勢いでその場を座した家臣の背中を見送った後
「…さて、この判断が吉と出るか、凶と出るか…。」
氏直の呟きは誰の耳にも届かなかった。


再び安土城ーーー
「少し出て来たね。」
舞のお腹を触診しながら家康が言う。
「そうかな?自分では良く分からないよ。もしかしたら太っただけだったりして…。」
「はー。本当にあんたは…」
舞の言葉に呆れた顔をする家康に
「此奴の無自覚さは生涯治らん。」
信長が言うと
「でしょうね。」
と家康が返す。
「ちょっと!二人とも!」
二人のやり取りに不満気な舞を無視して
「もう良いよ。」
家康が言うと
「えっ?」
「もう出血が止まって何日も経つし、普通に生活していい。ただし!絶対に無理はしないこと。走ったり馬に乗ったりなんて言語道断だからね!」
「…本当?!やったーーっ!!」
舞が歓喜の声を上げた。
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