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《イケメン戦国》時を越えて

第15章 時を越えて〜分岐〜幸村ver.中編


「どういうこと?!」
顔色の変わった家康が三成に詰め寄る。
「忍び込んだ敵から舞様を守るため、幸村殿が単独で戦闘中に脇腹を負傷。どう言う経緯か舞様も木刀で敵に挑み、幸村殿が心の臓を一刺しして敵は絶命。二人とも助かったものの、舞様は倒れ意識不明、幸村殿も傷が深く意識がないとのことです。」
「はぁ?!なんでそんなことに!」
「当事者が二人とも意識がないため、詳しくは分かりませんが、村正も矢を射られていて、村正と幸村殿に危害を加えられたことに舞様が逆上したのではないかと…。」
「…記憶が戻った?」
「佐助殿の文によれば『おそらく』と。」
「……分かった。すぐに向かう。秀吉さん、政宗さん。」
「ああ。舞のこと頼むな。」
「後のことは任せろ。」
「後処理は代わりに私が。信長様のご命令です。」
三成の言葉に肯くと
「状況が分かったら早馬を出します。」
そう言って家康は矢の如く去って行った。


ーーー安芸の港。
警備が強化された船内を一人の男が悠々と歩いている。武器庫の前までやって来ると、見張りの兵に
「交代だ」
と告げる。
「もう、そんな時間か?」
と言いつつも、見張りという名のただ立っているだけの退屈な任務から解放されるとあって、兵は嬉しそうにその場を後にした。
四半刻後。
ドカーンッーー
バキバキバキッーー
船が爆発炎上を始めた。
「何事だ!!」
見回りに来た兵の目に飛び込んで来たのは、無人の見張り場と、武器庫の扉が衝撃で吹っ飛ぶ光景だった。
「武器庫が爆発してる!皆、逃げろ!!!」
そう叫びながら慌てて戻ろうとする見回り兵の姿は、あっという間に炎にのまれた。

燃え上がった船が沈み行く様子を、離れた場所から眺める明智家家臣と饗談の面々。
「九兵衛、ご苦労だったな。」
光秀が言うと
「有難きお言葉。」
と九兵衛が返す。
「さあ、城もさっさと燃やして舞のところへ戻らねばな。」
「そうですな。約束は違えられませぬ。」
光秀と三太郎の言葉を合図に、一同は城へ向かって動き出した。

吉田郡山城に到着した一向は、警備の手薄な裏門から侵入する。武器庫へ忍び込むのは饗談の役目だ。明智軍は退路の確保を担う。潜入からしばらくすると、にわかに城内が騒がしくなった。
「さすがに早いな」
光秀がニヤリと笑うと同時に
「お待たせしました。」
饗談が戻って来る。一向は風のようにその場を去って行った。
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