第13章 夏の終わり
さて。
やっちゃんの欠伸につられながら。合宿最終日。
午前が終われば、少し遅めのお昼を食べて解散だ。
あと一息。
もうすっかり慣れた朝の準備も、試合の記録も。
いつも通りこなして。
『ビブス配りまーす! 』
声も心做しか、前より通るようになってきた。
『次、生川とです! 第1コートです! 』
「おーし、移動チャッチャとなー。」
「「「ウィース!!」 」」
私の声に、黒尾くんも主将らしく皆をまとめてくれて。
最後の力を振り絞って、みんな気合を入れているのがわかる。
最後の試合。
烏野も、最後に梟谷との試合が始まる。
音駒の記録をつけながら。
烏野の声も耳に入る。
仁花ちゃんが喜んでる。
もしかして、速攻完成したのかな?
言ってたなぁ。新しい速攻、練習中だって。
日向くんと影山くんが喧嘩したことも、心配してたし。
そんなことを考えながらも。
こっちでも、リエーフくんのバンザイブロックで間を抜かれることが減ってきた。
研磨くんとリエーフくんとの連携ミスも減ってきた。
うん。
みんな凄い。
途中、木兎くんがしょぼくれモード(って雪絵ちゃんとかおりちゃんが言ってた)に入ったらしいけど、メンバーのおかげでなんとか建て直したらしい。
意外とワガママというか、自由な感じが溢れてるよねぇ。
遠くできこえる、「木兎って実は末っ子だよね」という誰かの声に、密かに同意する。
音駒も、最後の試合を無事に勝って。
烏野と梟谷は、梟谷が買って。
無事に練習試合が終わる。
ああ、終わった。
これでみんなは全日程がおしまい。
私たちマネージャーは、最後のひと仕事。
みんなが体育館の片付けや掃除をしている間に、
「人参、切り終わったのどこ? 」
「こっちにお願い! 」
「お肉開けていいかな? 」
「キャベツ全部切っちゃうよー! 」
「おにぎり何個できた? 」
「今30個です! 」
そう。
おおよそ100人分の、バーベキューの下準備。
これが最後の大仕事。
『うう〜、涙出る...』
「だ、大丈夫? 」
私は玉ねぎと奮闘中。
数個なら我慢出来る玉ねぎの痛さも、普段使わないような数だと流石に耐えられない。
ポロポロ流れる涙を潔ちゃんに心配されながら、でも早くしないとみんなが来ちゃうから頑張って手を進める。