第1章 6つ子異世界へ
ただ確かなのは、さっき男が言うように彼らの声を聞き付けたのか、ゾンビが集まってきているということだけだ。そしてそれはついに、この建物のドアまで来た。ドン、ドンという音が聞こえる。
「ここももう駄目だ。移動するぞ」
「わかったわ」
「了解!」
「はーあ。また移動かあ。誰かさんたちのせいで!」
少年の言葉にカチンときたおそ松が食ってかかった。
「はあ?!俺たち何も知らないし!気づいたらここにいたし!」
「やめろ!さっさと移動するぞ!武器を持て!」
リーダーがおそ松たちにも銃や鉄パイプなどの武器を渡す。
「いいか、自分の命は自分で守れ。それが出来なきゃゾンビの仲間入りになるだけだ」
「待って!俺たちほんとに、何も分からないんだよ。教えてくれ」
「わかったわ。私が説明する」
紅一点の彼女が6つ子の前に出た。
「あなたたちがどこから来たのかは知らないけど、ここは数年前にバイオ研究所から出てきたゾンビたちで埋め尽くされてしまったの。噛まれれば彼らと同じ、ゾンビになるわ。だからお願い、戦って!戦って生き延びるしか方法はないの」
カラ松がすっくと立ち上がる。
「わかった!おい、お前ら!俺たちの世界に帰るには、戦うしか方法はない。怖いとか言ってる暇はないんだ!」
おそ松も立ち上がった。
「みんな!こういう時こそ俺たち6つ子の力を合わせるんだ!」
おそ松の言葉にみんなが立ち上がる。
「そうだね!がんばるよ!」
「……やるしかないんだな」
「ばっちこーい!」
「僕もがんばる!」
「使い方はわかるか?」
リーダーたちに武器の使い方を教えてもらったおそ松たちは活気づく。
「頭を狙うんだな?」
「そうよ。他を狙っても意味がないの」
「とりあえず名前教えてくれ。そっくりで誰が誰だかわからん。俺は遙人(はると)、こっちは妹の○○、輝夫とその弟の大河だ」
「俺たちは6つ子なんだ。色で言った方がわかるかな。赤の俺がおそ松、青がカラ松、緑のチョロ松、紫の一松、黄色の十四松、ピンクのトド松」
「よし、一旦屋上まで昇るぞ!」
「は?!屋上まで?!」
抗議しようとするトド松に大河がつっかかった。
「お前らがギャーギャー言うからゾンビが集まってきて、普通にドアから出られなくなったんだよ!」
「しょうがないでしょ、知らなかったんだから!」
