第7章 嫉妬(銀時裏夢)
「ち、違うの、これは……」
「何が違うんだ?」
「これは、その、自分で掻いて」
「両手首を?」
追い詰められていく遼の瞳に恐怖が宿り、唇が震えて呼吸が荒くなった。
反対側の手首に巻かれた包帯を解きつつ、銀時は距離を詰める。
触れ合う程に近くなった銀時に、遼は後退るが、すぐに机にぶつかり、先を阻まれた。
「あの、銀ちゃん……んっ」
ちゅうっと音を立てて口吻され、遼の目が驚きで見開かれる。
「他に痕が無いか、見せてくれ。ああ、下着は着けてていいから」
淡々と告げる銀時に、遼はどうしていいかわからず戸惑う。
「早く」
「っ!」
苛立つ声に、遼は慌てて下着姿になり、銀時はその姿をじっくりと検分した。
胸元に咲く無数の華。
膝や足首にも残る赤黒い痕。
その総てが土方との行為によるものだと思うと、銀時は心臓が冷えていくような気がした。
何故、どうしてと疑問が湧き上がる。
「最低だな。こんな痕まで残して……こんな、物みてぇに扱って。まるで奴隷じゃねぇか」
「違うの、これは」
「遼が望んだわけじゃないだろう?」
「そうだけど、でも、十四郎さんは」
「お前はアイツを庇うんだな。なぁ遼、旦那だったら何してもいいのか?」
苦しそうな銀時の表情に、遼は自分が悪いことをしているような気分になり、居たたまれなくなった。
「俺たち、もう一度やり直さないか?」
「そんなの無理だよ。だって私、結婚してるんだよ」
「だけど、俺の方がお前を愛してる」
銀時は遼の手首に唇を這わし、キツく吸い上げる。
ちゅっという音と、かすかな刺激が遼の体を支配して、遼の目にうっすらと涙が浮かんだ。
「やめて、銀ちゃん」
「泣くなよ。ごめんな……俺がちゃんとお前を捕まえてなかったから」
「違う、違うよ」
「愛してる。お前が誰と結婚して、誰に抱かれていたとしても」
髪に、頬に、唇に、銀時はひとつずつ唇を落としていく。
その度に、遼の睫毛が震え、涙が零れ落ちた。
ポロポロと落ちる涙は、遼と銀時を濡らす。
「この肩も、胸も、腹も……ここも、俺の物だったのにな」
銀時の指が、下着の上から秘裂に触れた。