第29章 支配される心と体(近藤・土方裏夢)
「んっ……」
僅かに身じろぎした遼の体をベッドに押し付けながら、より深く口づけた。
遼は気を失っていて反応一つなかったが、それがより一層土方の征服欲を高めていく。
十分に遼の口内を堪能した土方は、今度は無防備にさらされた胸へと唇を落とした。
胸の先端に軽く口づけると、それを口に含んで舌先でコロコロと転がしたり、強く吸い上げてみる。
されるがままの遼は甘く吐息を漏らすものの、目覚める様子はなかった。
「まるで眠り姫だな。まあいいか、勝手に楽しませてもらうさ」
そう言ってシャツを脱ぐと、遼をバンザイさせて手首の枷をベルトに固定して抵抗できないようにし、先ほど触れていたのとは反対の胸にしゃぶりつく。
そして、右手を遼の秘裂へと伸ばすと、まだ十分に潤っているその場所を優しく撫でた。
「すげぇ濡れてんな。感度が良いのか、それとも……」
言いかけて、ぐっと眉間に皺を寄せる。
その先は、不快で不愉快極まりない想像だった。
思考を遮るように激しく指を動かすと、ぐちゅぐちゅと湿った音が部屋に響き、少しだけ気持ちが晴れる。
「んっ、は……遼……」
下半身に熱が集まり、それ以外考えられなくなってきた所で、シャワーを終えた近藤が戻ってきて、土方は已む無く行為を中断させて身を起こした。
「何だ、遼ちゃんはまだ目が覚めないのか」
「ああ。無理矢理起こすんなら──」
「いや。実は松平のとっつぁんから、すまいるに来いってメールが来ててな。お妙さんも待ってるし、ちょっと行ってくる」
そう言って相好を崩した近藤を、土方はやや冷ややかに見ながらも、訪れた好機に秘かにほくそ笑む。
「トシ、悪いけど暫く遼ちゃんの事は頼んだ」
「はいはい。目が覚めたら適当に教育しとくよ」
「任せた。じゃあ、ちょっと出掛けて来るから、何か有れば連絡頼む」
いそいそと着替えて出て行った近藤を見送った土方は、改めて目覚めない遼の顔をまじまじと見下ろした。
取り立てて美人というわけもなく、かと言って不美人というわけでもない。けれど、どこか男好きする魅力があり、白く柔らかな肢体は誘うような雰囲気を持っていた。