第28章 一世一代の恋の行方(銀時裏夢)
自分よりずっと広くて筋肉質な銀時の背中を優しく擦りながら、遼は弛んでしまう口元を隠しきれずにいた。
ただただ嬉しくて、泣きたいほどに幸せで――
思わず感極まってしまいそうで、遼は努めて明るい声で銀時に声を掛ける。
「銀ちゃん、気もち良い?」
「おー。でも、スポンジじゃなくてこう、おっぱいとかで洗ってくれるともっと気持ちい――いてっ!」
「調子に乗らないで。そういうのは、お店でどうぞ」
「え"っ、うそ、遼ちゃん、俺がそういうお店に行っても嫉妬してくれないの??」
「しないよ」
あっさり答えた遼に、ショックを受けた銀時はあからさまに肩を落とした。
「ちょっとくらい嫉妬してくれたって……」
「昔から、遊郭だのなんだの遊び歩いてた人が今更お店に行ったところで――」
「そりゃあ昔は兄妹みたいなもんだったけど、今は恋人同士だろ?」
「そうだけど……まぁ、信用してるから。ほら、背中洗えたよ」
「え、前は洗ってくんないの?」
「…ご自分でどうぞ」
呆れつつ銀時にボディスポンジを渡した遼は、文句を言いながら体を擦る銀時の背中を改めて見つめる。
明るい場所でじっくりと銀時の素肌を見るのは初めてだったが、見るほどに愛しさが募っていった。
(重症だ。後ろ姿も好きなんて)
無意識に盛大な溜息をつくと、振り返った銀時がにやにやと笑うのと目が合って首を傾げる。
「なに?」
「銀さんの背中に見惚れるなんて、遼ちゃんのエッチ」
「…っ!」
図星をつかれ赤面した遼の手首を掴んだ銀時は、そのまま引き寄せて深く口づけた。
「んっ」
「っは、可愛い顔。じゃあ、次は俺の番な。隅々まで洗ってやるから覚悟しろよ」
「せっ、背中だけでいいよ。あ、いや、背中だけでお願いします」
「どうしよっかなぁ~」
楽し気にボディソープを泡立てる銀時に、遼は唇を震わせながら手で胸と股間を隠す。
そんなささやかな抵抗も、今の銀時には性欲を煽る要因にしかならず、背を向けた遼の背中にたっぷりの泡が乗せられた。
「まずは背中。やっぱ小さいよな。俺の半分くらいしかなさそう」
「半分って、子どもじゃあるまいし」
「そうだな。随分大人になったよ。特に…こことか」
「ひあっ!」