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魂の色【銀魂短編夢】

第27章 朝雲暮雨【土方夢】



「ま、どんなだったかなんて、お前にも教えてやらねぇよ。
安心しろ、どうせすぐに思い出すことになるだろうからな」
「どういう意味です?」

眉を寄せ、不思議そうに見上げてくる遼に、土方はニヤリと笑ってその額に口づけた。

「まだ時間はあるぜ。何なら今から思い出すか?」
「……――っ、なっ、何言ってるんですか?!」
「――冗談だよ。ほら、お前も服着ろ」

狼狽える遼に寝間着を渡し、昨夜の行為に思いを馳せる。
ふと、離れてしまったぬくもりが寂しくなり、背を向けて着替える遼に声を掛けた。

「着れたらこっちに来い。もう少しだけ、お前を抱きしめさせてくれ」
「えっ、ど、どうしてですか?」
「今が現実なんだって、実感してぇんだよ」
「現実って…。わかりました」

遠慮がちに身を寄せてきた遼を抱きしめて、土方は安堵の溜息をつく。

「ああ、やっぱりあったけぇな。
 遼……、俺は今、幸せだよ。俺の幸福は、きっとお前自身だ。だからどうか、お前も幸せでいてほしいと思う」
「土方さん……」

見つめてくる遼に口づけて、小さくやわらかなその手を握った。

「俺は、お前と繋いだこの手を離さない。
お前と出逢って、叶えられない望みはないんだってわかったから。――だから、共に生きよう。俺たちが出逢った、この場所で」

土方を見つめる遼の瞳が僅かに揺れる。
もの言いたげに僅かに開いた遼の口は、言葉を発する前に引き結ばれた。



――おわり――
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