第25章 愛のメッセージ
【高杉晋助】
夢、じゃねぇよ。
全部、現実だ。
お前は日常を棄てて、俺の所に来た。
『攘夷志士、高杉晋助率いる鬼兵隊』。
ここでお前は、闇を縫い、地を這って生きていく――
本当に、それで良いのか?
俺への恋情だけで生きていけるほど、甘ぇ世界じゃねぇぞ。
そうか……
だったら俺も、けじめをつけなきゃいけねぇな。
お前の命は、誰にもくれてやらねぇよ。
譬えそれが、天や運命なんてわけのわからねぇもんだったとしても、お前の命は俺のもんだ。
だから俺から離れるな。
くっ、そんな顔で誘っても、優しくはしてやれねぇぞ。
二度と平穏な生活を望めないように、骨の髄まで犯しつくしてやるよ。
俺の欲で、お前の魂まで濁らせて――
最果てに。
俺と堕ちるなら、そこは閻魔の待つ場所だ。
覚悟しろとは言わねぇよ。
堕ちた先でも、ちゃんと俺が守ってやる。
遼、お前は二度と羽ばたけない。
俺の腕の中で、静かにその身を委ねていろ。
お前が囀るのは、俺の――高杉晋助の鳥かごの中だけだ。
共に地獄に堕とす罪を、いつか俺は贖う事になるだろう。
きっとこれは、俺の独り善がりだ。
愛した女を、傍に置いておきたいと願ってしまった。
愚かで、
浅はかで、
どうしようもない程に情けない男の、
――最後の願い。