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魂の色【銀魂短編夢】

第23章 合歓綢繆【阿伏兎裏夢】


それなりに広い浴槽は、二人で入っても十分な広さだったが、遼は阿伏兎に後ろから抱きしめられるような形でつかっていた。

「やっぱり二人で入れる浴槽をつけて正解だったわ」
「お前さん、本当に風呂が好きだな」
「セックスの後に、阿伏兎と一緒にお風呂に入るのが好きなの」
「の割には、俺が風呂の中で触ると怒るだろ?」
「だって、お風呂に入る度に阿伏兎の事を思い出しちゃうじゃない。そんなの身が持たないわ」

くすくすと笑いながら、遼は阿伏兎に凭れる。
充足感に遼が満足していると、阿伏兎が不満げに水面に浮かぶ遼の髪を引っ張った。

「なあに?」
「別に」
「拗ねないでよ。そうだ、後で頭洗わせてね」

二人で風呂に入ると、遼は必ず阿伏兎の頭や体を洗いたがる。自分が触れられるのは嫌がるのに、阿伏兎には触れたがるのだ。不思議に思った阿伏兎が理由を聞いたところ、「好きだから」という身も蓋もない答えが返ってきた。

「あ、そうだ。ねえ阿伏兎――」

遼が何か言いかけた瞬間、バンッと音を立てて浴室の扉が開かれる。

「何だ、こんな所にいたんだ」

現れた人物に、遼と阿伏兎は盛大に顔を顰めた。

「団長、いったい何の用だ?」
「ああ、お楽しみ中だった?」
「他に何に見えるんだよ」
「それはともかく、10分後に機関室ね」
「は?」

唐突な指示に、思わず聞き返してしまう。

「ああ、10分後じゃ一発ヤった後ってわけにもいかないか。じゃあ、20分後でいいよ。じゃあね」
「あんま変わんねぇだろ」

言いたいことだけ言って出て行った神威に、遼はふつふつと怒りを滾らせる。

「後で絶対報復する」
「やめとけやめとけ。良い様に揶揄われるのがオチだ」
「だって!せっかく阿伏兎と二人きりになれたって言うのに!!まだ一回しかしてないのに!!!」

怒り心頭の遼に、阿伏兎は「そろそろ出て用意しないと間に合わねぇな」と苦笑した。
不貞腐れた遼に口づけて優しく頬を撫でる。

「続きはまたゆっくりしようや」

阿伏兎の優しさに絆された遼は、「絶対よ」と約束を取り付けると漸く微笑んだ。

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