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魂の色【銀魂短編夢】

第23章 合歓綢繆【阿伏兎裏夢】


元宇宙海賊春雨第七師団。
夜兎で構成されたこの集団を率いるのは、若干二十歳の青年だ。そして、彼を支える副団長は苦労人の中年男。

「何か、俺の紹介だけおかしくないか?」
「でも、事実ですよ」
「じゃあお前は、その中年男の女とでも紹介してもらうか?」
「いえ、私は——第七師団参謀にして、幻の天人夜兎の血を引く地球人くらいで結構です」

しれっと言ってのけた遼に、阿伏兎は「図々しすぎだろ」とつっこむ。

「では、私は苦労人その2で」
「じゃあ、その1と一緒に元凶の所へ行くか」
「そうですね。今日はどんな難題を押し付けられるんですかねぇ」

すでに疲れた様子の二人は、元凶こと神威のもとへ急ぐ。

「遅いよー二人とも」
「そうですか。すみません」
「全然悪いって思ってないよね。まあいいや、実はちょっと楽しそうなのをみつけてさ」

そう言って神威が見せたのは、エイリアン退治を募集するチラシだった。

「団長、また星海坊主とやりあう気か?」
「誰とやり合うって?」
「エイリアン退治なんて、星海坊主の十八番だろ。つーか、この間もこんな内容で星海坊主とかち合ってただの親子喧嘩になってただろ」
「大丈夫だよ、今度こそぶっ倒すから」

にこにこと笑いながら握った拳を見せつけてくる神威に、阿伏兎と遼は一気に疲れが押し寄せてくるのを感じて肩を落とす。

「もうアンタの好きにしてくれ」
「もちろん。じゃあ、出発しようか。遼、後はヨロシク」
「はいはい。団長様の仰せのままに」
「あ、その前に」

遼の腕を掴んだ神威は、そのまま引き寄せておろしたままの遼の髪を軽く引っ張った。

「何ですか」
「結んであげる。ほら、座って」

「はい」か「YES」以外の答えは受け付けない神威の誘いに、遼は黙って従う。近くの椅子に座ると、神威は遼の髪を手櫛で梳き、ポニーテールを作って、器用に三つ編みを編んだ。
神威より随分と長い遼の髪は、編み上げると神威の母――江華とよく似た雰囲気になるらしいと、遼は星海坊主から聞いた。
神威曰く、もっと美人でスタイルがいいらしいが。

(それ、似てるって言わないよね)

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