第20章 愛、屋烏に及ぶ【近藤裏夢】
いつもであれば、近藤に全身を愛撫されてから挿入するのだが、今日はほとんど触れられないままだったせいか、少しの刺激でも痺れるほどの快感が全身を襲う。
「あ、や、勲さ…んうっ」
「遼さん、その顔、すごい可愛い」
「え?」
「苦しそうで、気持ちよさそうで……いやらしい」
その声に、言葉に、遼の中がぎゅうっと締まり、繋いだ手が震えた。
「あれ、こんなのでイっちゃったの?」
「あっ、は、だめ、なんです」
「ダメって、何が?」
「勲さんの声が、んっ、頭の奥に響いて、気持ち良くなるんです」
うっすらと涙を浮かべて訴える遼に、近藤はそう言えばと遼に告白された時の事を思い出す。
(遼さん、俺の声が好きだって言ってたなぁ。それにしたって今日は、随分と)
蕩け切った表情や、上気した体、妙に積極的な態度。
何かあったのかと、尋ねてもきっと答えられないだろう。今は。
「遼さん、まだ大丈夫?」
「あ、はい。がんばります」
遼は浅く深呼吸をすると、今度はゆっくり上下に動く。
動く度に、ぐちゅぐちゅと音を立て、繋がった部分から全身に熱が広がった。
「あっ、あっ、んんっ」
「は、あっ」
互いにもう、気持ち良くなることしか考えられなくなる。
けれど、体力のない遼にとって、そろそろ限界が近かった。
「勲さんっ、あっ、あぁっ」
「遼さん、そのまま俺に凭れていいよ。後は俺が動くから」
「んあっ、ぁ、はい」
遼がゆっくり凭れると、近藤は繋いでいた手を離し、遼の腰をがっちりと掴む。
「動くよ」
「あっ、んっ、ああぁぁっ!」
全身を揺さぶる激しい動きに、遼は翻弄されながらシーツを掻いた。
「んっ、くっ、遼さ…んっ」
「あっ、あ、だめっ、ああぁっ、やっ、イっ——!」
堪え切れずに達した遼は、全身を震わせる。
動きを止めた近藤は、びくびくと痙攣する遼の背中を撫でながら呼吸が整うのを待った。
「遼さん、このままだと中に出すけど本当にいいの?」
「んっ、あ、出して、ほしいです。勲さんの、…が、欲しいです」
「わかった。遼さん、愛してるよ」
引き寄せて、近藤は遼に深く口吻る。