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魂の色【銀魂短編夢】

第18章 情炎(土方裏)


「遼っ、大丈夫か!?」
「っあ、十四郎さ……っ、ごめん、なさい、何でもないんです」
「何でもないわけあるか!」

思わず声を荒げた土方に、遼はびくりと体を震わせる。

「悪ぃ、怒ってるわけじゃ……いや、怒ってるな。どうして何も言ってくれねぇんだ?
そんなに俺は、頼りねぇか?」

土方の問いに、遼は泣きながら首を横に振った。優しくされればされるほど、切なくて、苦しくて、自分が許せなくなる。

「ごめんなさい、私……、そんな資格なんて、ないのに」
「資格って、何の話だよ?」
「私っ、十四郎さんを裏切ってしまいました」
「裏切る?」
「だって私、トッシーさんと……」

そこまで聞いて、土方は遼が何を考えているのかを察した。泣き止まない遼を抱き寄せて胸に収めると、ほっと息を吐く。

「なんだ、そんな事か。トッシーは――認めたくはねぇが、俺自身だ。だから、裏切ってなんかいねぇよ」
「でも……私、十四郎さんとトッシーさんは違うってわかっていたのに、拒めなくて、それなのに、十四郎さんが戻ったら、十四郎さんに甘えて、虫のいいことばかり」
「甘えてたか?」

眉間に皺を寄せて首をひねる土方に、遼はこくりと頷くと、目を擦りながら「だって」と言葉を続けた。

「十四郎さんは優しいから、私のことを急に追い出したりしないって」
「当たり前だろ。急にじゃなくても追い出したりしねぇよ。お前が苦しんでいたとしたら、謝らなきゃならないのは俺の方かもな」
「そんな、だって」
「不安にさせて悪かったな。もうアイツに好き勝手なことはさせねぇから。だから、俺の傍に居てくれ」

遼の耳元に唇を寄せた土方は、一層強く抱きしめて低い声で囁く。

「遼、愛してる」
「私もっ、愛してます」

躊躇うことなく答えた遼に、自然と土方の表情も綻んだ。

「愛してる」

背中に回された手が帯に掛かったことに気付いた遼が、思わず小さな息を漏らす。

「遼、拒むなら今の内だぞ。今日は多分、優しくしてやれねぇ」

その声に、言葉に、遼は頭がクラクラした。
心が、体が、この先を期待して熱くなる。
遼が答えないのを「是」と捉えた土方は、遼の帯を解き、ゆっくりと口吻る。
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