第1章 超好き
「スーツ、シルバーのやつがいいな♪」
「持ってねぇよ」
「え?だってこないだテレビで――」
「あー…。あれ、衣装」
「えー…」
んな顔すんなよ。
…ったく。
「おまえ好きだね~、スーツ」
「超好き♪」
ま、いいけどね。
スキとか言われりゃ、悪い気しないしね、こっちも。
「借りれるかわかんねーけど、頼んでみっか」
「やったぁ☆」
マネージャーにメールしながら、ふと思った。
スーツが好きってことは…
「おまえさ、翔くんとかどうなの。嵐イチスーツが似合う、キャスター櫻井は」
「翔くん?ふふっ。…すっごい好きッ!!」
は?
…『好き』?
しかも『すっごい』!?
「…マジ?」
「うん♪」
嘘。そんな話、聞いたこと――
「撫で肩じゃなければね?」
そう言って、彼女は悪戯っぽく笑った。