• テキストサイズ

とある、非日常の中の少女の日常。

第1章 出会い



「話は解った……。俺に言えることはとりあえず一つだけだ。なんで誘拐なんかしたんだ!」

キュキリ。

妙な音がした方を向くと、静雄がこぶしを握りしめているのが見えた。

静雄が手を開くと、アルミホイルのように丸められた、それまでスチール製のコップであった筈の物体があった。

「悪ぃな。弁償する」

「……いいよ。ちょうど新しいのが欲しいと思ってたとこだ」

新羅は冷や汗を流しながら目を逸らし、少女が先刻よりも震えていることに気づく。

「大丈夫だったかい?もう安心だよ?あんなに恐そうな人たちに連れ回されて大変だったろうけど」

「……」

少女は全くの無言で、気丈な態度を見せているが、それにしては震えが酷い。

そんな少女に違和感を覚え、少女の額にぺたりと手をつける。

「……奥の部屋の押し入れに、客用の毛布があるから、それを出して!」

「?」

「この子、すごい熱だ!すぐにお湯を沸かして!」

新羅の言葉を聞き、にわかに騒がしくなるマンション内。

そんな内、少女は張り詰めた糸が切れたように、クタリと身体を倒し、そのまま意識を失った。


/ 39ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp