第2章 いつもと違う世界
「……ん」
窓の外で鳥が鳴いている。
「朝…」
どうやら僕はちゃんと起きれたようだ。
昨晩はあの子の夢は見なかった。
そんな風に、少しぼんやりしていると、
「おはようございます、月島さん!」
突然看護師が部屋に押しかけて、あれやこれやと僕に話しかけてきた。
「先ずは体温を図らせていただきます。それから、この後に朝食をお持ちしますね。食事が終わりましたら本日は先生と少しお話を…ああ、診察をしていただきます。……36.5℃、はい、平熱です。ありがとうございます。それでは、私はこれで!」
ぴしゃんと、引き戸を閉め出て行く看護師の背中を見つめながら、自室ではない場所が、こんなにストレスなのかとため息をついた。
・・・・・
僕は昨日、変な夢を見て寝坊して、
昼間の授業中も、気がついたら居眠りをしていた。
山口の勧めで少し寝ようと、保健室に向かうと、
そこで体の力が抜けて倒れ込み、
放課後くらいに起きたと思ったら、母さんが来ていて、
また、保健室で、昏睡。
次にはこの病院のこのベッドで目を覚まし、
兄ちゃんと母さんに囲まれる……
「……。」
不規則な生活?
僕は、どちらかといえば規則正しく生活をしてきた方だ。
夜も早めに寝ているし、朝もきちんと、決まった時刻に起きられていた。
なのに、なぜ昨日から……こんなことに?
考える暇もなく、病室のドアが開いて、運ばれてくる朝食。
(授業、どうしよう。予習復習、間に合うかな)
色々な不安感も、一旦ぜんぶ流し込むように、箸を口に運んだ。