第7章 偶然か、必然か
あれから僕は愛衣と別れて無事に帰路についたが、家についたころにはもうとっくに、夜の0時を過ぎていて…
家族全員にこっぴどく叱られたのち自室に戻り、ふんわりとした睡魔に身をゆだね、そのまま瞼を閉じた。
・・・・・
気が付くと、目の前に広がっている景色は、昼間、愛衣と出会った公園で。
それが夢だと、すぐに気が付いた。
『月島くん』
愛衣の声がする。
「心配しないで。もう君は一人じゃない。僕は、君の事を忘れたりなんかしない、今度こそ」
『良かった。』
そのままどこかに行こうとする愛衣の腕を、今度は強く引き留めた。
「行かせない、どこにも!」
『だけど、いつまでもここにはいられないよ。月島くんだって、きっとこの先、私を残すとつらいよ。』
「それでもいい、君が今より楽になれるなら!」
思いは空を切って、君が透明になっていく。
『さよなら、好きだったの。ありがとう』
それからもう二度と、愛衣が夢に現れる事はなかった。