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【HQ】月島蛍の夢

第4章 日常、ずれていく


検査入院が終わり、一時帰宅となった僕は、
自室で溜まった課題を消化していた。

少し授業に出ていなかっただけで、これだ。僕は勉強の遅れを取り戻せるんだろうか?

不安感と戦いながら筆を走らせる。

・・・

入院している間、ナルコレプシーの発作は増えるばかりで、
自分の意識に関係なく突然眠ってしまうことは、強いストレスになってきていた。
いつ、どんなタイミングで来るかはまだハッキリと掴めていない。だから、こうしている間にも、また眠ってしまうのではないかと不安なのだ。

それから、不安はまだあって、
検査入院の二日目に愛衣の夢を見てからは、
一向に彼女が夢に出てこない。
あの子の言葉が引っかかって、ご飯も喉を通らないでいた。これは、我ながら重症だ。

(…切り替えなきゃ)

勉強も部活も、僕にとっては大切なことで。
…どうしてこんなタイミングなんだ。
全く、この病気が恨めしい。

・・・・・

〈翌日〉

朝、教室に入ると、クラス中の人間が僕に、異質物に対するような視線を向けてきた。

その空気を察してか、クラス委員の子が僕の方へ来て声をかける。

「月島くん、大丈夫?」
「…」

言わなきゃな、面倒くさいな。
だけど、こんなのって…言って他人にわかってもらえるようなことなんだろうか。

しばらくすると、突然担任が教室に入ってきて、教卓の前に立った。
担任は僕の方をじっと見た後、だんだん静まり返っていく教室で口を開く。なんだか嫌な予感がする。


「えー…今日は、授業を始める前に月島の事について、みんなに言っておかなければいけないことがある」

途端にざわめく教室。

嫌な予感的中、最悪だ。


みんなが僕を見ている。


「月島はここ数日検査入院をしていたのだが、ナルコレプシーという病気であることがわかった。
ただ、我々学校生活を共にする仲間が理解することで、月島は前と変わらない日々を過ごすことができる。
ナルコレプシーとは、居眠り病とも言われていて、突然自分の意思に関係なく眠ってしまう病気だ。」

すると生徒のひとりが口を開く。

「えー、それって、どんな時でもってことですか?」

「ああ、そうだ。たとえ人と話している最中でも。
だから…これから先、月島が突然寝てしまっても、ナルコレプシーの発作だということを理解して欲しい」

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