第3章 変わってゆく
月島side
「変な夢を見るんです。昨日は、夢だってわかりましたけど、なんだか……よく分からない夢を見ます」
数日、僕の頭の中を支配してるのは“あの子”だ。…が、
さすがにそんなことは言えないので、なるべくぼかして伝える。
「ふむ、なるほど。……ほかに体調の変化などは見受けられませんか?」
変化…?ああ、そういえば。
「ありました。体がこわばって動けなくて……まるで金縛りみたいでした。…その後は、そのまま寝ましたけど。」
「なるほど…。蛍くん、お母様、お聞きください。」
一通り話を聞き終えて、医者は目線をカルテから僕と母の方に向けると、ゆっくり話し始めた。
「ナルコレプシーでは、悪夢を見る、金縛りにあう、などの症状がみられることがあります。
きっとそれが出ていると思うんですが……」
「そ、そうなんですか?」
戸惑う母。
「(悪夢?というより……ただただ、訳が分からない夢ってだけ、なんだけど)」
でも、言われたことは、本当だし。
医者は再び、カルテに目線を戻して言った。
「診断書を書いておきます。これから一緒に、頑張って治療していきましょう。」
・・・・・
医者の診察が終わり、自分の病室へと戻る。
白いベッドの中で、
僕はぼんやりと、
これからの学校生活について考えていた。
(こんな状態で登校出来るのか…そもそも、ナルコレプシーって。少し前になにかの本で読んだくらいだぞ。僕がそうなるなんて)
学校、といえば部活…
「あ」
そういえば、昨日は山口が
僕が休むことを伝えてくれたんだっけ。
お礼…言わなきゃな。
時計を見ると、針は10時25分を差していた。
そろそろ、2時限目が終わるくらいだろうか。
僕は携帯を手に取って、山口に電話をかけた。