第2章 いつもと違う世界
山口side
今朝、ツッキーのお母さんから俺の家に電話がかかってきた。
『忠くん、ごめんね。蛍、ちょっと入院することになったの。』
「えっ!?!?」
『知ってると思うけど、昨日から突然倒れて…病院へ行ったら……』
おばさんの声が遠くなる。
突然出た、“入院”というキーワードに俺はしばらく言葉を失った。
(どうしてツッキーが、入院…?)
理由を探して、ここ最近のツッキーの様子を思い出してみる。
…そういえば酷い風邪をひいて、1度学校を休んだっけ?
「あ!!」
(もしかして…それのせいとか?)
突然の大声に、電話の向こうでおばさんが戸惑っているのが分かって、すかさず話を続ける。
「あの。ツッキー、学校に来て居眠りする日の前に、風邪ひいてましたよね?」
『やっぱり……忠くんは知ってるのね』
(じゃあ本当に、あの風邪が原因だったって事…?)
『お医者様の話によると、ちょっとしたストレスでも突発的に発症する病気だって。
それで、しばらく検査入院ってことになったわ。』
「そうですか……」
身近な人が、常に元気でいるとは限らない。
ツッキーの顔が浮かんで、消えた。
そうか、ツッキー、病気なのか。
『忠くんには、色々迷惑かけちゃって悪いわね…
蛍のこと、落ち着いたら、また必ず連絡するから』
いつもの元気なおばさんからは考えられないような悲しげな声に、よけい胸が痛んだ。
「……はい」
『それじゃあ、ね』
呆気なく、プツリと切られた電話。
病気について…学校には、話をするんだろうけど。
「バレー、どうするのかな……」
一抹の不安を抱えて、俺は家を出た。